
味噌も醤油に並んで、
和食に欠かせない発酵食品です。
このページでは、日本の味噌について解説します。
味噌の歴史
味噌は中国から「醤(ひしお)」として伝わったという説、
大豆を発酵させたものとして伝わったという説などがありますが、
日本独自の発展を遂げ、
室町時代には味噌汁が庶民の間に広まっていました。
醤油が一般的になるまでは、
味噌が日本食の味つけを支えていたのです。
味噌は、さまざまな発酵調味料の中でも、
材料がシンプルで比較的つくるのが簡単です。
蒸して潰した大豆に麹と塩を混ぜ、
半年ほど発酵・熟成させれば完成です。
昔は各家庭でつくられていましたが、
現代においても自家製の味噌をつくる人は、さほどめずらしくありません。
地域によって違う味噌
家庭では、気分によってさまざまな味噌を使い分けているのではないでしょうか?
それもそのはずで、味噌は地域色豊かな調味料であり、
種類はさまざまです。
それは、原料に使う麹の種類が異なるからです。
米麹、麦麹、豆麹や、それらを混ぜてつくったものなどがあります。
また関東、関西では色による違いもあり、
関東の味噌は赤褐色で辛口のものが多いです。
一方で関西の味噌は白味噌で、
甘みが強いです。
日本の味噌には、具体的にどのようなものがあるでしょうか。
1つ1つ見ていきましょう。
米味噌

米味噌は、蒸した大豆に米麹と塩を混ぜて、
発酵・熟成させたものです。
国内生産の8割以上を米味噌が占めているので、
皆さんがよく使う味噌も米味噌の可能性が高いです。
米味噌には、麹や塩の割合により、
大きく分けて3つ種類があります。
1.甘味噌
甘味噌は麹を多く入れており、塩分は6%前後です。
醸造期間が短いのが特徴で、5日〜20日ほどになります。
関西地方、四国地方で多くつくられています。
2.甘口味噌
甘口味噌も麹を多く入れており、塩分は10%前後。
四国、九州地方で多くつくられています。
3.辛口味噌
辛口味噌は麹が少なめで、塩分は12%前後。
醸造期間は3〜12ヶ月と長め。
東北地方、関東甲信越で多くつくられています。
麦味噌

麦味噌は、蒸した大豆に麦麹を入れてつくられた味噌です。
生産量は全体の1割以下で、
主に九州、四国、中国地方で醸造されています。
昔は、温暖な九州地方では米が採れず、
米を使って味噌をつくることができなかったことから、
麦麹が使われるようになりました。
麹の割合が高いので味は甘口となり、
熟成期間が短いので仕上がりは淡い色になります。
麦味噌は、米味噌に比べあっさりした味わいではありますが、
最大の魅力は麦ならではの香ばしい香りにあります。
加熱により持ち味の香りが飛んでしまうので、
ぐつぐつと加熱するのは避けましょう。
豆味噌
豆味噌は、豆麹を入れてつくった味噌です。
つまり豆味噌の材料は、大豆と塩のみとなります。
豆味噌は米味噌に比べ、
色が赤黒く、渋み、酸味、苦味が感じられる、
個性的な味の味噌です。
熟成期間が長く、1〜3年かかります。
味は濃厚ですが、米味噌よりも塩分は控えめです。
加熱しても風味が飛ばないので、
煮込みうどんや煮物の味つけに合います。
八丁味噌
豆味噌は主に愛知県や岐阜県など、東海地方でつくられていますが、
もっとも有名なのは八丁味噌です。
八丁味噌は、愛知県岡崎市にある八帖村(旧八丁村)において、
伝統製法で醸造されている豆味噌です。
仕込んだ大豆と塩を桶に入れて重石を積み上げ、
二夏二冬かけて発酵・熟成させています。
調合味噌
調合味噌とは、米味噌、麦味噌、豆味噌を、
2種類以上合わせた味噌や、
複数の麹を混ぜて醸造した味噌のことを言います。
それぞれの麹や味噌が持つ良さを生かしつつ、
クセは抑えられるので、
物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、
誰にでも食べやすい味噌になります。
なめ味噌
なめ味噌とは調味料ではなく、
そのままおかずとして食べられる味噌です。
なめ味噌には、加工なめ味噌と醸造なめ味噌があります。
加工なめ味噌は、
既成の味噌にさまざまな食材(例えばナッツ類や野菜、肉など)を
混ぜて、練り上げたものです。
一方で醸造なめ味噌は、食材と麹、塩を混ぜ、
一緒に発酵・熟成させたものになります。
金山寺味噌
醸造なめ味噌で代表的なものに、
和歌山県や千葉県などで醸造されている「金山寺味噌」があります。

金山寺味噌は、大麦の麹と、
シソ、ショウガ、ウリなどを漬け込んで発酵させたものです。
ごはんのお供や酒の肴、もろきゅうで食べても◎。
日本の味噌について解説しました。
毎日食べてはいるものの、
原料による種類の違いや味わいについて、
知らないことも多かったはずです。
毎回同じ味噌を使っている家庭も多いかもしれませんが、
ぜひ全国各地のさまざまな味噌を試してみると良いでしょう。
次のページでは、アジア各国の味噌について学習します。