Lesson7-1 発酵食品の効用① 味噌/醤油/ぬか漬け

「味噌汁を飲むと、体が温まってホッとする」

「漬物やヨーグルトを食べると、おなかが快調になる気がする」

「発酵食品を取ると、なんとなく体調が良くなる気がする、
肌の調子も良い気がする・・・」

そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

発酵食品には思っている以上の健康効果があります。
それはどうしてなのでしょうか?

Lesson7では、日本で消費される代表的な発酵食品を取り上げ、
それぞれどのような栄養があり、
どのような健康効果があるのかを解説していきます。

味噌

味噌にまつわることわざはたくさんあることを知っていますか。

  • 味噌汁は朝の毒消し
  • 生味噌は腹の妙薬
  • 味噌汁は不老長寿の薬

他にも多くのことわざがありますが、
それは味噌が昔から人々の健康に役立ってきたからにほかなりません。

味噌の栄養

味噌の原料が大豆であることは、すでに学びましたね。

大豆はタンパク質を多く含む食材ではありますが、
あまり消化に良くないことで知られています

しかし、発酵を経た味噌は大豆のタンパク質が酵素によって分解され、
アミノ酸やペプチドになります。

そのため、消化吸収率が良くなるのです。

味噌には人間が生命を維持するのに必要なアミノ酸9種類が、
全て含まれています。

さらに、ビタミン類やミネラル分、食物繊維も豊富です。

味噌汁の健康効果

血圧が高い人は、
味噌汁の塩分が気になるところかもしれません。

しかし、大豆が発酵する際に発生するレシチンという成分は、
高血圧の予防に効果があります。

さらに、味噌汁を定期的に摂取する人はしない人よりも、
胃がんや胃潰瘍、肝硬変などの死亡率が下がるという
調査結果も出ています。

また、老化制御機能が生まれることや、
放射線被害が少ない
ことも判明しています。

近年、栄養価が非常に高いという海外のスーパーフードが
たびたび話題になりますが、
味噌こそが日本を代表するスーパーフードと言えるでしょう。

味噌を使い分ける

味噌の中でも豆味噌は、大豆のみ使われているため、
タンパク質の含有量が高く、炭水化物が少ないです。

また豆味噌を含む赤味噌は、
抗酸化成分が多く含まれているため、
紫外線による影響を防ぐ効果
が期待できます。

一方で白味噌は、アミノ酸の一種である
GABA(ギャバ)が多く含まれています。

GABAにはリラックス効果や、安眠効果があります。

1日の疲れを癒したいなら、
夕飯に白味噌の味噌汁を食べるのがおすすめです。

醤油

醤油の栄養成分

大豆、麹、小麦を、ゆっくりと時間をかけて発酵させてできた醤油は、
アミノ酸、ビタミン、ミネラル、酵素など、
数100種類以上の成分
がつくり出されます。

注目したい成分を確認してみましょう。

フラノン

フラノンという成分は抗酸化作用があり、
ガンの発生を防いだり、コレステロールを下げる働きがあります。

メラノイジン

色素成分であるメラノイジンは、
ガンの発生や、食後の血糖値の上昇を防ぎます。

アミノ酸

アミノ酸には、グルタミン酸などの旨み成分のほか、
疲労回復や免疫の強化、
記憶力や集中力を高める成分も含まれています。

殺菌作用

醤油に含まれる乳酸、アルコール、食塩には、
殺菌作用があります。

昔から刺身を醤油につけるのは、
味つけのためだけでなく、
殺菌という意味で理にかなっていたということなのです。

醤油の選び方

注意したいのは、市販されている多くの醤油は、
脱脂加工大豆を使い、添加物を加えた醤油であることです。

醤油に健康効果を期待したいなら、
原料に「大豆、小麦、塩」だけを使い、

添加物など入れていない「天然醸造」の醤油を選ぶとより良いでしょう。

ぬか漬け

ぬか漬けが体に良いことは周知の事実であり、
家で自家製のぬか漬けをつくっている人も多いのではないでしょうか。

ぬか床は、米を精米した時に不要となる米ぬかでつくられますが、
米ぬかは栄養が豊富です。

ぬか漬けの栄養

米ぬかには炭水化物をはじめ、
タンパク質、脂質、ビタミンなどが豊富に含まれ、
微生物がこれを栄養源にして発酵をしていきます。

ぬか漬けのすばらしい点は、
ぬかに含まれるこれらの栄養分が、漬けた野菜に浸透することです。

例えば、きゅうりをぬか漬けにすると、
ビタミンB1が約10倍近くまで増加します。

また、野菜をぬか漬けすると、
水分が抜けてしまうため、
相対的に繊維の量が多くなります。

つまり、ぬか漬けは食物繊維を多く摂取できるので、
動脈硬化やガンなど、成人病の予防に効果がある
のです。

植物性乳酸菌の力

米ぬかと野菜には、植物性乳酸菌がついています。

乳酸菌は、人間にとって良い働きをしてくれる
善玉菌ですね。

ぬか床の塩分は高いので、
この中を生き抜く乳酸菌は、たくましい乳酸菌です。

このような強い乳酸菌を取ると、生きて腸まで届きやすく、
腸内環境の改善に期待
ができます。

腸内環境が整うと、疲労回復しやすくなり、免疫力も高まり、
さまざまな健康効果につながる
のです。


味噌、醤油、ぬか漬けの健康効果について解説しました。

体に良いことは前から分かっていても、
どのような成分が、どんな働きをしているか詳しく知ることで、
発酵食品の健康効果に対する理解が深まったはずです。

次のページでも、発酵食品の効用について学習を進めましょう。