Lesson6-7 本みりん/麹/酒粕

本みりん

醤油や味噌に次いで日本料理に欠かせない調味料と言えば、
みりんです。

みりんの歴史

みりんは日本発生説と、
中国から「密淋(ミイリン)」として伝わったという中国発生説があります。

江戸時代中期には、女性やお酒が弱い人でも飲める甘いお酒として、
人々に飲まれていました。

江戸時代後期になると、
うなぎの蒲焼や蕎麦つゆなどにみりんが使われるようになり、
この頃から調味料として定着したようです。

本みりんの製造

本みりんは、もち米とうるち米の米麹に、
焼酎などのアルコールを加えて、
40〜60日間かけて糖化させ、
それを圧搾して絞ったものです。

調味料とは言え、アルコール分を14%ほど含んでいるので、
「お酒」に分類されます。

本みりんを使うとおいしくなる

鶏の照り焼き、肉じゃがに魚の煮付け。

本みりんを少し加えると、
程よい甘さと旨みとコク、そして照りも加わり、
料理がおいしくなります。

さらに本みりんは、食材の臭みを消し、
煮くずれを防止したりする効果
もあります。

良いことずくめなので、和食に使わない手はないでしょう。

ただし、酒には変わりないので、
みりんをそのまま使う時はしっかり加熱して、
アルコールを飛ばしましょう。

みりん風調味料

スーパーには、「みりん風調味料」が売られています。

こちらは、水あめやアルコールなどを調合した調味料で、
発酵調味料ではありません。

本みりんの甘さはもち米による自然な甘さですが、
みりん風調味料には糖分を加えて甘みを出しています。

アルコール度数1%未満で、値段はお手頃です。

これまで学習した発酵調味料で、
何度も「麹」が出てきましたね。

醤油や味噌など、麹は日本の発酵食品をつくる上で、
欠かせない存在です。

麹は、米や麦、大豆などの蒸した穀物に、
スターターである「種麹」を付着し、
麹菌を繁殖させてできたものです。

麹には多くの酵素が含まれています。

そのうち「プロテアーゼ」は、肉のタンパク質を分解し、
柔らかくしてくれます。

「アミラーゼ」はデンプンを分解して糖を生産するので、
甘みが生まれ、食材の旨みも引き出します。

また、これらの酵素は胃腸薬にも用いられ、
消化を助ける働きをしてくれます。

食材をおいしくするだけでなく、健康にも役立つのです。

ここでは、麹を用いてつくる「塩麹」と「醤油麹」について学習しましょう。

塩麹

塩麹は、米麹、塩、水を混ぜて発酵させた発酵調味料です。

塩麹は数年前から人気が高まっているので、
家庭に常備して、塩の代わりに料理に用いている人も多いでしょう。

塩麹を肉や魚の下ごしらえに使うと、
身が柔らかくなり、さらに旨みも加わって、
食材が一味も二味もおいしくなります。

肉だけでなく、
野菜を塩麹漬けにしたり、
サラダのドレッシングに加えたりもできます。

まさに万能調味料として活躍する塩麹は、
自宅でも簡単につくれます。

塩麹のつくり方と塩麹を使ったレシピは、
Lesson9で学習するので後ほどゆっくりみてください。

醤油麹

醤油麹は、醤油に米麹を浸けて発酵させた調味料です。

醤油麹は、旨みの成分であるグルタミン酸を、
塩麹の10倍も含んでいます。

そのため、少量を料理に使うだけでも、
料理に旨みが加わっておいしくなります。

塩麹と同様に、
料理の下ごしらえに使えば肉や魚が柔らかくなり、
コクが出ます。

また、醤油の代わりに使用することもでき、
刺身のつけダレやカルパッチョのドレッシング、
卵かけごはんや納豆にも合います。

醤(ひしお)

味噌や醤油のルーツと言われる「醤」の調味料もあります。

これは、醤麹(ひしおこうじ/麦麹と豆麹を合わせたもの)を
醤油に浸けて発酵させたものです。

こちらも醤油麹と同じように料理に使えます。

酒粕

酒粕は、日本酒を醸造する際に、
もろみを絞って個体として残ったものです。

酒粕の効果

酒粕が肌に良いことは、一般に知られた事実です。

酒粕にはアミノ酸が20種類以上も含まれ、
さらにビタミンも豊富です。

肌荒れやくすみの予防、保湿効果など、
美容の効果が期待できます。

また食物繊維が豊富なため、
整腸作用もあるのです。

酒粕の活用

酒粕を、調味料としてさまざまな料理に活用しましょう。

酒粕を味噌汁に加えて溶かすと、
簡単に風味豊かな粕汁を楽しめます。

また肉や魚を粕漬けにして焼くと、
旨みと酒粕の風味が加わって香ばしくなります。

カレーやシチューに隠し味として入れるのも、
おすすめです。

使いきれない時は小分けにして、
冷凍保存しておきましょう。


Lesson6では、発酵調味料について解説してきました。

一口に発酵調味料と言っても、
醤油や味噌、酢などさまざまなものがあり、
さらに日本だけでなく、諸外国で生まれた調味料もたくさんありましたね。

発酵調味料を上手に使うと料理がワンランクアップし、
レパートリーも増えます。

いろいろなものを試して、味わいを比べてみましょう。

Lesson7では、発酵食品の効果について学習を進めます。