本みりん

醤油や味噌に次いで日本料理に欠かせない調味料と言えば、
みりんです。
みりんの歴史
みりんは日本発生説と、
中国から「密淋(ミイリン)」として伝わったという中国発生説があります。
江戸時代中期には、女性やお酒が弱い人でも飲める甘いお酒として、
人々に飲まれていました。
江戸時代後期になると、
うなぎの蒲焼や蕎麦つゆなどにみりんが使われるようになり、
この頃から調味料として定着したようです。
本みりんの製造
本みりんは、もち米とうるち米の米麹に、
焼酎などのアルコールを加えて、
40〜60日間かけて糖化させ、
それを圧搾して絞ったものです。
調味料とは言え、アルコール分を14%ほど含んでいるので、
「お酒」に分類されます。
本みりんを使うとおいしくなる
鶏の照り焼き、肉じゃがに魚の煮付け。
本みりんを少し加えると、
程よい甘さと旨みとコク、そして照りも加わり、
料理がおいしくなります。
さらに本みりんは、食材の臭みを消し、
煮くずれを防止したりする効果もあります。
良いことずくめなので、和食に使わない手はないでしょう。
ただし、酒には変わりないので、
みりんをそのまま使う時はしっかり加熱して、
アルコールを飛ばしましょう。
みりん風調味料
スーパーには、「みりん風調味料」が売られています。
こちらは、水あめやアルコールなどを調合した調味料で、
発酵調味料ではありません。
本みりんの甘さはもち米による自然な甘さですが、
みりん風調味料には糖分を加えて甘みを出しています。
アルコール度数1%未満で、値段はお手頃です。
麹
これまで学習した発酵調味料で、
何度も「麹」が出てきましたね。
醤油や味噌など、麹は日本の発酵食品をつくる上で、
欠かせない存在です。
麹は、米や麦、大豆などの蒸した穀物に、
スターターである「種麹」を付着し、
麹菌を繁殖させてできたものです。
麹には多くの酵素が含まれています。
そのうち「プロテアーゼ」は、肉のタンパク質を分解し、
柔らかくしてくれます。
「アミラーゼ」はデンプンを分解して糖を生産するので、
甘みが生まれ、食材の旨みも引き出します。
また、これらの酵素は胃腸薬にも用いられ、
消化を助ける働きをしてくれます。
食材をおいしくするだけでなく、健康にも役立つのです。
ここでは、麹を用いてつくる「塩麹」と「醤油麹」について学習しましょう。
塩麹

塩麹は、米麹、塩、水を混ぜて発酵させた発酵調味料です。
塩麹は数年前から人気が高まっているので、
家庭に常備して、塩の代わりに料理に用いている人も多いでしょう。
塩麹を肉や魚の下ごしらえに使うと、
身が柔らかくなり、さらに旨みも加わって、
食材が一味も二味もおいしくなります。
肉だけでなく、
野菜を塩麹漬けにしたり、
サラダのドレッシングに加えたりもできます。
まさに万能調味料として活躍する塩麹は、
自宅でも簡単につくれます。
塩麹のつくり方と塩麹を使ったレシピは、
Lesson9で学習するので後ほどゆっくりみてください。
醤油麹

醤油麹は、醤油に米麹を浸けて発酵させた調味料です。
醤油麹は、旨みの成分であるグルタミン酸を、
塩麹の10倍も含んでいます。
そのため、少量を料理に使うだけでも、
料理に旨みが加わっておいしくなります。
塩麹と同様に、
料理の下ごしらえに使えば肉や魚が柔らかくなり、
コクが出ます。
また、醤油の代わりに使用することもでき、
刺身のつけダレやカルパッチョのドレッシング、
卵かけごはんや納豆にも合います。
醤(ひしお)
味噌や醤油のルーツと言われる「醤」の調味料もあります。
これは、醤麹(ひしおこうじ/麦麹と豆麹を合わせたもの)を
醤油に浸けて発酵させたものです。
こちらも醤油麹と同じように料理に使えます。
酒粕

酒粕は、日本酒を醸造する際に、
もろみを絞って個体として残ったものです。
酒粕の効果
酒粕が肌に良いことは、一般に知られた事実です。
酒粕にはアミノ酸が20種類以上も含まれ、
さらにビタミンも豊富です。
肌荒れやくすみの予防、保湿効果など、
美容の効果が期待できます。
また食物繊維が豊富なため、
整腸作用もあるのです。
酒粕の活用
酒粕を、調味料としてさまざまな料理に活用しましょう。
酒粕を味噌汁に加えて溶かすと、
簡単に風味豊かな粕汁を楽しめます。
また肉や魚を粕漬けにして焼くと、
旨みと酒粕の風味が加わって香ばしくなります。
カレーやシチューに隠し味として入れるのも、
おすすめです。
使いきれない時は小分けにして、
冷凍保存しておきましょう。
Lesson6では、発酵調味料について解説してきました。
一口に発酵調味料と言っても、
醤油や味噌、酢などさまざまなものがあり、
さらに日本だけでなく、諸外国で生まれた調味料もたくさんありましたね。
発酵調味料を上手に使うと料理がワンランクアップし、
レパートリーも増えます。
いろいろなものを試して、味わいを比べてみましょう。
Lesson7では、発酵食品の効果について学習を進めます。