Lesson3までの発酵についての学習では
微生物の働きや発酵の仕組みがよく理解できましたか。
このレッスンからは、
日本や世界のさまざまな発酵食品について学習し、
知識の幅をさらに広げていきましょう。
Lesson4では特に、日本の発酵食品を取り上げます。
まずは、食卓でもおなじみの、
定番の発酵食品について解説していきます。
漬物

日本の食卓に欠かせない食品と言えば、
漬物です。
みなさんの中にも、
自家製の漬物を漬けている人は多いことでしょう。
世界中にも漬物の食文化はありますが、
日本は群を抜いてその種類は多く、
全国に数百種類以上もあると言われています。
それは漬け床の種類がたくさんあるほか、
漬け込むものも、野菜を中心にキノコや生姜、ワサビまで、
多種多様だからでしょう。
さらには漬け込む時間もそれぞれ異なり、
早漬け、一夜漬けなど短期間のものから、
古漬けなど長期間のものもあります。
漬物には、発酵をさせないものもありますが、
発酵をさせる漬物については、
食材に付着している乳酸菌の働きによって発酵が進みます。
乳酸菌の力で酸性になることにより、
雑菌の繁殖を抑え、長期保存も可能にしてくれます。
日本の代表的な漬物
ぬか漬け
精米するときに取れるぬかに、
野菜を漬け込む伝統的な漬物です。
ぬかの栄養分が野菜に浸透し、
さらに発酵によって旨みと香りが増します。
毎日かき混ぜたり、
発酵が進み過ぎてしまわないように、
温度を適切に保つことが必要です。
麹漬け
米麹、塩、砂糖を混ぜて発酵させた漬け床に、
大根などの野菜を漬け込んだ漬物です。
一般的によく知られている麹漬けには、
東京都のべったら漬けや、
福島県の三五八(さごはち)漬けがあります。
麹漬けは、伝統的には野菜を漬けますが、
最近では肉を漬けるなど活用の幅に広がりを見せています。
塩辛

ごはんのお供にピッタリの「塩辛」。
塩辛も日本では古くから伝わる、魚介系の発酵食品です。
塩辛は魚介の身や内臓を、
高濃度の塩(10%以上)に漬け込んだものです。
そのため、腐敗を防ぎ長期保存が可能となっています。
もともと魚介の内臓には消化酵素が豊富なため、
この酵素が微生物の働きとともに、
発酵を促しています。
消化酵素によってアミノ酸もつくり出され、
これが塩辛の旨み成分となっているのです。
漬け込むのものはさまざまですが、
もっとも一般的なのはイカです。
その他、カツオ、タコ、イワシなど、
さまざまな塩辛があります。
中には独特の食材もあり、
例えばナマコの腸を塩辛にした「このわた」は有名です。
「このわた」は、日本三大珍味の一つともされ、
生産量が限られる貴重な最高級珍味になります。
鰹節

発酵商品と言えば、
水分が多くドロドロしているようなものが多いイメージですが、
鰹節は乾燥して固く、
「世界一固い発酵食品」とも言われています。
そのため、鰹節が発酵食品とは知らない人は多いかもしれません。
あまりに固すぎでそのままでは食べられないので、
かんなで削って食します。
作り方はまず、鰹を三枚に下ろし、
さらに二等分して身の部分を水で煮ます。
次に燻製させて香りをつけ、
形を整えて天日乾燥させます。
これが「荒節(あらぶし)」です。
この後、カビを付けて乾燥させる作業を数回おこなったものが、
伝統的な「本枯節(ほんかれぶし)」となります。
できあがりの重量は、
元の重量の20%ほどまでになります。
本枯節は発酵の過程で、
微生物の働きにより内部の水分が完全になくなり、
乾燥してしまうので、常温で長期の保存が可能です。
さらに発酵と熟成の過程でアミノ酸などの成分が発生し、
旨みがぎゅっと詰まった鰹節ができあがります。
次のページでも引き続き、
定番の発酵食品について解説していきます。