Lesson4-6 酒類

このレッスンでは日本の酒について解説します。

酒は世界中でさまざまなものが醸造されていますが、
その中でも日本独自の酒について学びましょう。

まず、酒は大きく分けて3つに分類されます。

次の表を見て確認してください。

種類説明主な酒
醸造酒原料に含まれる糖類を酵母でアルコール発酵させ、ろ過したもの。
アルコール分が低いのが特徴。

日本酒、ワイン、ビール、マッコリ、紹興酒など。
蒸留酒醸造酒を蒸留し、熟成させたもの。
アルコール分が高い。
焼酎、ウォッカ、ウィスキー、ジン、ラム、テキーラなど。
混成酒醸造酒や蒸留酒に果実などを浸して、味と香り、色をつけたもの。梅酒などの果実酒、リキュール。

日本酒

日本酒は、日本古来の酒です。

原料は米と麹と水。

麹菌によって米のデンプンをブドウ糖にし、
酵母によってアルコール発酵させたものになります。

発酵によってアミノ酸やビタミンが生成されるため、
適量の飲酒であれば体に良いとされています。

日本酒の製造には洗米や仕込みに使われる水も重要で、
酒の味も左右されるため、
昔から水が豊富できれいなところで醸造されてきました。

日本酒にはいくつかの分類がありますが、
ここでは「特定名称酒」と「製造方法による分類」について解説します。

特定名称酒

特定名称酒は、

  • 原料の米をどれぐらい精米しているか。
  • 醸造用アルコールを加えていないか。

と言う基準に則った酒です。

特定名称酒以外は、「普通酒」になります。

分類方法は、以下の通りです。

特定名称原料精米歩合
大吟醸酒米、米麹、醸造アルコール50%以下
吟醸酒米、米麹、醸造アルコール60%以下
純米酒米、米麹規定はないが、60%以下のものは特別純米酒とされる。
本醸造酒米、米麹、醸造アルコール70%以下

日本酒の製造では、精米した米を使います。

なるべく米の中心を使った方が、
雑味の少ないおいしい日本酒ができるからです。

例えば精米歩合60%というのは、
米の40%を削って残りの60%のみを使うということです。

つまり、精米歩合の数字が小さいほど手間もかかり、
本醸造よりも吟醸、吟醸よりも大吟醸が高級となります。

製造方法による分類

製造方法による分類は、次の通りになります。

種類説明
原酒製造後に水を加えていないもの。
生酒製造後に火入れ(加熱処理)をしないもの。
生貯蔵酒製造後に火入れをせず、出荷前に火入をしたもの。
樽酒木製の樽で貯蔵し、木の香りがついたもの。
古酒長期間貯蔵し、熟成させたもの。

同じメーカーでもさまざまな種類があるので、
分類の仕方を覚えておくと酒選びの時の助けになるでしょう。

焼酎

焼酎は、米、麦、蕎麦、サツマイモなどの原料を
麹で糖化し、アルコール発酵させ、蒸留した酒です。

蒸留酒としては、日本を代表する酒になります。

焼酎の起源ははっきりとしていませんが、
500年ほど前にシャム(現在のタイ)から
琉球を経て伝わったとする説などがあります。

焼酎で知っておきたいのは、
「甲類」と「乙類」の分類です。

甲類連続式蒸留したもの。
アルコール度数36%未満
蒸留を何度かさせるため、純度の高いアルコールを抽出できる。
乙類単式蒸留したもの。
アルコール度数45%以下
1度だけ蒸留する昔ながらの方法。
原料の特徴がより活かされた焼酎になる。

ちなみに、沖縄で生産されている泡盛も焼酎の一種で、
乙類に分類されます。

タイ米を原料とし、黒麹菌で発酵させるため、
他の焼酎とは異なる独特な風味が特徴です。

泡盛は熟成させると風味が増すため、
3年以上熟成させた「古酒」がありますが、
中には100年以上熟成させた古酒もあり、
世界でも稀に見るお酒となっています。

甘酒

甘酒には2種類あります。

米麹の甘酒

1つ目が、米麹を原料とした甘酒です。

米麹の甘酒はスーパーでも販売していますが、
自宅でも簡単につくることができます。

炊いたごはんに米麹と水を入れ、
60℃以下の温度を保って8時間ほど保温すると、
できあがりです。

米麹の甘酒は、ビタミンB群、オリゴ糖、食物繊維、
アミノ酸、ブドウ糖などを含むため、
「飲む点滴」と言われるほど栄養価の高い食品です。

甘酒と言っても、アルコール分は含まれていないので、
誰にでも飲むことができます。

酒粕の甘酒

2つ目は、酒粕でつくる甘酒です。

酒粕は、日本酒製造で出る副産物。

酒の絞りかすです。

酒粕に水と砂糖を加えれば、甘酒の完成です。

酒粕の甘酒にも、食物繊維やビタミン、
アミノ酸などの栄養が豊富に含まれています。

こちらは少量ですがアルコールも含まれているので、
お子さんや妊婦さんは控えた方が良いでしょう。


日本を代表する日本酒と焼酎、
そして甘酒について解説しました。

次のLesson5では日本から出て、
世界の発酵食品について学びましょう。