Lesson4では日本の発酵食品について学びましたが、
実は外国にも、ありとあらゆる発酵食品が存在します。
そこでLesson5からは、世界の主な発酵食品について
学習しましょう。
まずは、野菜や豆を使った発酵食品について解説していきます。
キムチ(朝鮮半島)

キムチは朝鮮半島で生まれた漬物です。
白菜などの野菜と、
塩、唐辛子、ニンニク、アミエビなどを一緒に漬け込み、
乳酸発酵させたものになります。
キムチは、乳酸菌を多く含みます。
しかも、キムチに含まれる乳酸菌は胃酸に強く、
生きて腸まで届きやすいのが特徴。
さらにビタミンやカプサイシン、食物繊維なども豊富で、
体に優しい漬物と言われています。
日本のスーパーでは漬物コーナーに必ずと言っていいほど並んでいますが、
9割以上が日本国内で製造されたものです。
キムチ風の調味料に野菜を漬け込んであるだけのものが多く、
本場のキムチとは異なります。
韓国から輸入されたキムチも、
乳酸菌の抑制などの工程が加えられています。
本物のキムチを食べたいと思ったら、
韓国まで足を運んで食べた方が良いかもしれません。
ザワークラウト(ドイツ)

ザワークラウトは、ドイツで生まれたキャベツの漬物です。
ソーセージなどの肉料理の隣によく添えられていますね。
ザワークラウトは酸味のあるキャベツですが、
酢を使っているのではなく、
乳酸菌が出す乳酸による酸味です。
千切りしたキャベツに塩を混ぜて瓶などの容器に入れ、
重石をのせて数日〜数週間発酵させればできあがりです。
お好みで、ローリエやクミンなどの香辛料を入れて漬けても◎。
生のキャベツはカサがあってたくさん食べられませんが、
ザワークラウトはかさが減って食べやすくなります。
シンプルな材料なので、自宅でも挑戦しやすいでしょう。
ザーサイ(中国)

ザーサイは中国で食される漬物です。
原料はカラシ菜の一種の搾菜(ざーさい)で、
肥大した茎を塩漬けして天日干しし、水分を出します。
そして塩、唐辛子、山椒、酒などの調味料で漬け込み、
発酵させたものです。
見た目はメンマに似ていて、
コリコリした食感がおいしい漬物です。
日本の中華料理店でも、
よくお通しや、メインに添えられています。
日本にあるザーサイはほとんどが中国から輸入されたものですが、
日本でも千葉県など一部の地域で生産されています。
テンペ(インドネシア)

テンペは、大豆を原料にしてつくられた、
インドネシアの発酵食品です。
その歴史は古く、数百年以上前から食されています。
テンペは、蒸した大豆にテンペ菌を付けて発酵させますが、
テンペ菌はハイビスカスやバナナの葉に生息しているため、
伝統的にはそれらの葉に蒸した大豆をくるんで製造していました。
テンペ菌糸によって大豆が結合し固形になるので、
ブロックで販売されています。
納豆の製造方法に似ていますが、
テンペはニオイやクセが少なく、糸も引かないので、
納豆よりも食べやすいです。
また淡白な味なので、
いろいろな料理にアレンジがしやすいのも特徴。
テンペは良質なタンパク質と、食物繊維、
ビタミン、イソフラボンなどの栄養素が豊富なため、
スーパーフードとして日本でも販売しているところが増えてきました。
また欧米では、プラントベースの食材として、
肉の代わりに食べる人もいます。
腐乳(中国)

Lesson4-3で学習した、
豆腐ようのルーツとしても知られる腐乳(ふにゅう)。
腐乳は豆腐にカビをつけた後、塩水に漬け、
白酒などの酒をふりかけて発酵・熟成させたものです。
乳酸菌の働きにより、
発酵すると酸味と独特の匂いが発生します。
そしてチーズのようなクリーミーでコクのある風味も特徴。
そのままでも食べられますが、
調味料として鍋やお粥の味付けに使うこともできます。
腐乳は、血液をサラサラにしたり、
消化を助ける効果、
さらにアンチエイジングにも期待できます。
臭豆腐(中国、台湾、香港など)

アジア諸国を旅行したことがある人なら、
市場から漂ってくる強烈な異臭を感じたことがあるのでは?
それは、おそらく臭豆腐(しゅうどうふ)の匂いです。
臭豆腐の作り方は腐乳に似ており、
カビをつけた豆腐を塩漬けした後、
その豆腐と臭豆腐もろみを容器に入れ、
酒をかけて発酵させてつくります。
乳酸菌やその他の微生物の働きにより、
独特の匂いと風味が生み出されます。
その匂いは「香り」というより、
もはや下水の匂いに近い「悪臭」とも言われています。
臭すぎて地元民でも食べられない人がいるほどです。
しかし、一度食べてしまえばブルーチーズやカマンベールのような
コクのあるマイルドな味わいに、虜になってしまう人も多いのだとか。
上の写真のように油で揚げたり、
お粥の味付けに使うのが一般的な食べ方です。
腐乳と同様に、
アンチエイジングの効果が期待できます。
次のページでは、世界の肉の発酵食品について解説します。