Lesson5-7 酒類②

ジン

ジンは、大麦、ライ麦、ジャガイモなどを原料につくられる
蒸留酒です。

製造過程で、杜松の実(ジュニパーベリー)をはじめとした、
香草や薬草を用いる
のが特徴の酒です。

ジンはもともと、飲酒用につくられたものではなく、
薬用につくられたお酒です。

17世紀のオランダで、
ライデン大学医学教授のフランシスクス・シルヴィウスが、
アルコールに杜松の実(ジュニパーベリー)を浸して蒸留すると、
解熱や利尿に効果があると発表しました。

ジンはその後、飲酒用としてイギリスで人気を博し、
アメリカでカクテルベースとして注目を集めました。

国を渡り歩いて成長したこうした経緯から、ジンは、
オランダ人が生み、イギリス人が洗練し、アメリカ人が栄光を与えた
と言われています。

ジンベースの有名なカクテル

  • ジントニック
  • マティーニ
  • ギムレット
  • ルシアン

ブランデー

一般的にブランデーとは、
ブドウを原料とするワインを蒸留した酒です。

しかし、日本の酒税法では、
果実酒を蒸留したものを全てブランデーと定義しています。

そのため、例えばリンゴ酒を蒸留したものは、
ブドウからできるブランデーと区別するために、
アップル・ブランデーと、果物の名前を付けて呼びます。

ブランデーの製造では蒸留の精度が問題で、
どのような蒸留の方法で、どの程度蒸留するかで、
味わいが異なります。

原料のワインの風味をいかに残しながら蒸留するかが、
腕の見せどころなのです。

蒸留した原酒は、樽に入れて熟成に入ります。

そうすることで、美しい琥珀色のブランデーに
色づいていきます。

ブランデーは、適温に温めると香りが引き立つので、
グラスを手のひらで包み、
体温で温めながら飲んでみましょう。

世界的に有名なブランデー

  • コニャック(フランス)
  • アルマニャック(フランス)
  • グラッパ(イタリア)
  • カルヴァドス(アップルブランデー/フランス)

ラム

ラム酒は、サトウキビを原料につくられる蒸留酒です。

サトウキビから砂糖をつくる時の副産物である
「廃糖蜜(はいとうみつ)」をアルコール発酵させ、
蒸留し、樽で熟成させたものです。

原産は、キューバなどの西インド諸島(カリブ諸島)になります。

ラム酒の歴史

16世紀〜17世紀、サトウキビの栽培地域が拡大して砂糖の生産が増えると、
廃糖蜜を原料につくられるラムの貿易も盛んになりました。

当時、

  • ヨーロッパ
  • アメリカ/西インド諸島
  • アフリカ

の3地域において、奴隷や工業製品の三角貿易がおこなわれていましたが、
ラム酒もその一端を担うことになります。

アフリカから船で奴隷を西インド諸島に運ぶと、
その船に廃糖蜜を乗せてアメリカのニューイングランドに運び、
そこでラム酒を製造し、それをアフリカに運んで取引に使いました。

ラム酒の分類

ラム酒は風味によって、3つに分類されます。

  • ライトラム
  • ミディアムラム
  • ヘビーラム

ライトラムは個性が少なく、軽い味わいなので、
カクテルのベースにおすすめ。

ヘビーラムは風味、香りが強く、濃厚で個性的な味わい。
ストレートやオン・ザ・ロックで。

白酒

白酒(パイチュウ)は、中国を代表する蒸留酒です。

米、小麦、豆類、高粱(コーリャン)などを原料につくられます。

白酒のつくり方は、
まず、原料を蒸してレンガ状に成形し、
中国麹を加えます。

驚くべきはここからで、
それを地面に掘った穴に埋めて固形のまま発酵させるのです。

発酵期間は、1カ月〜1年ほど。

発酵が終わると取り出して、蒸留します。

通常、アルコール発酵をおこなう際には、
蒸留酒の製造でも、醸造酒のように液体の状態でおこなわれます。

白酒のように個体発酵させるのは、
世界でも類を見ないめずらしい酒です。

白酒のアルコール度数は50度〜70度で、
世界の蒸留酒の中でも非常に高くなっています。

茅台酒(マオタイチュウ)

茅台酒(マオタイチュウ)は、白酒の一種ですが、
特に中国貴州省北西部仁懐市茅台鎮でのみ生産されている
特産品です。

1915年に開催されたサンフランシスコ万国博覧会で金賞を受賞するなど、
世界的にも認められている有名な酒で、
そのため外交の際のおもてなしにも利用されます。

中国では「国酒」とも呼ばれている茅台酒は、
香り高く、上品な味わいなのに濃厚です。

飲んだ後も舌の上に留まり、口に香りが広がります。

マッコリ

マッコリは、米を原料にした朝鮮半島の伝統的な醸造酒です。

見た目は日本のどぶろくに似ており、
白濁しています。

昔の朝鮮では農民が農作業の間に飲んでいたことから、
「農酒(ノンジュ)」とも呼ばれています。

アルコール度数は6〜8%とビールと同じぐらいですが、
乳酸発酵により酸味と甘み、
そして酵母が生み出す微炭酸のわずかな刺激があって、
飲みやすい酒です。

マッコリは乳酸菌を含んでおり、
腸内環境を整える効果が期待できます。

マッコリには、加熱処理をしたものとしていないものがありますが、
本場韓国では加熱処理をしていない生マッコリが人気です。

沈殿物と上澄みの二層に分かれているので、
軽く振ってから飲みましょう。


ここまで2ページに渡って、世界の酒について解説してきました。

それぞれの酒が醸造される過程を知ることで、
これまで親しんできた酒も、
一層おいしく感じられるようになるはずです。

次のページでも引き続き
世界の発酵食品について学習しましょう。