Lesson3-3 酢酸菌

このページでは、
酢をつくり出す「酢酸菌」について学習しましょう。

酢酸菌とは、アルコールを酸化させ、
酢酸をつくり出す細菌の総称です。

酢酸菌は、空気中にも浮遊していますし、
果物の表面などにも生息しています。

食酢の生産に用いられる代表的な菌では、
「アセトバクターアセチ」があります。

酢酸菌の特徴①

酢酸は、微生物が生産する物質としては珍しいものではありませんが、
酢酸以外の菌はアンモニアなどの別の物質も生産してしまいます。

しかし、酢酸菌については酢酸しか生産しません。

また、酢酸菌はアルコールに耐性がありますが、
耐性のない微生物はアルコールの中では生きることができません。

さらに、酸性の環境にすることによって、
酸に耐性のない微生物も生息することができず、
防腐や殺菌の効果があります。

そのため、酢酸菌は食酢の生産に適しているのです。

酢酸菌の特徴②

酢酸菌は桿菌(※1)で、好気性細菌(※2)です。

そのため、酢酸発酵の際には、
アルコールの表面に膜を張るように広がっていきます。

(※1)かんきん。棒状、または円筒状の細菌のこと。

(※2)エネルギー代謝の際に、酸素を必要とする細菌のこと。
好気性細菌↔︎嫌気性細菌

食酢の種類

食酢は、発酵させる原料によってさまざまな食酢ができます。

下の表に、代表的な酢と原料をまとめましたので、
確認してください。

原料酢の名前備考
米酢日本でもっとも一般に使用される
玄米黒酢
もち米香醋(こうず)中国の黒酢と言われ、
疲労回復と、美肌効果に優れています。
大麦、小麦、トウモロコシ麦芽酢イギリスの代表的な酢
リンゴリンゴ酢
ブドウブドウ酢
ワインワインビネガー
酒粕粕酢(かすず)独特の風味と旨みがあり、まろやかな味わい。
熟成に時間がかかるため、高級酢として知られている。日本では寿司店や老舗料亭などで好んで使われている。

なお、酢の種類と詳細についてはLesson6-6でまた詳しく学習します。

食酢以外の食品も

一時期、日本ではナタ・デ・ココがはやったことがありましたね。

当時、ナタ・デ・ココって一体何だろう?
と不思議に思っていた人は多いのではないでしょうか。

酢酸菌の中には、
糖類から食物繊維の一種であるセルロースをつくり出すものがあります。

この働きをする酢酸菌は、
グルコノアセトバクター・キシリナス(ナタ菌)です。

ナタ・デ・ココはこのセルロースをつくる性質を利用して、
グルコノアセトバクター・キシリナスでココナッツジュースを
発酵させたものになります。

あのコリコリとした不思議な食感は、
ナタ菌によってつくり出された食物繊維だったのです。

ちなみに、ナタ・デ・ココは99%が水分で、
1%がセルロースです。

非常に低カロリーな食材として知られています。


以上、酢酸菌について解説しました。

次のページでは、「納豆菌(枯草菌)」について学習します。