
このページでは、
酢をつくり出す「酢酸菌」について学習しましょう。
酢酸菌とは、アルコールを酸化させ、
酢酸をつくり出す細菌の総称です。
酢酸菌は、空気中にも浮遊していますし、
果物の表面などにも生息しています。
食酢の生産に用いられる代表的な菌では、
「アセトバクターアセチ」があります。
酢酸菌の特徴①
酢酸は、微生物が生産する物質としては珍しいものではありませんが、
酢酸以外の菌はアンモニアなどの別の物質も生産してしまいます。
しかし、酢酸菌については酢酸しか生産しません。
また、酢酸菌はアルコールに耐性がありますが、
耐性のない微生物はアルコールの中では生きることができません。
さらに、酸性の環境にすることによって、
酸に耐性のない微生物も生息することができず、
防腐や殺菌の効果があります。
そのため、酢酸菌は食酢の生産に適しているのです。
酢酸菌の特徴②
酢酸菌は桿菌(※1)で、好気性細菌(※2)です。
そのため、酢酸発酵の際には、
アルコールの表面に膜を張るように広がっていきます。
(※1)かんきん。棒状、または円筒状の細菌のこと。
(※2)エネルギー代謝の際に、酸素を必要とする細菌のこと。
好気性細菌↔︎嫌気性細菌
食酢の種類
食酢は、発酵させる原料によってさまざまな食酢ができます。
下の表に、代表的な酢と原料をまとめましたので、
確認してください。
| 原料 | 酢の名前 | 備考 |
| 米 | 米酢 | 日本でもっとも一般に使用される |
| 玄米 | 黒酢 | |
| もち米 | 香醋(こうず) | 中国の黒酢と言われ、 疲労回復と、美肌効果に優れています。 |
| 大麦、小麦、トウモロコシ | 麦芽酢 | イギリスの代表的な酢 |
| リンゴ | リンゴ酢 | |
| ブドウ | ブドウ酢 | |
| ワイン | ワインビネガー | |
| 酒粕 | 粕酢(かすず) | 独特の風味と旨みがあり、まろやかな味わい。 熟成に時間がかかるため、高級酢として知られている。日本では寿司店や老舗料亭などで好んで使われている。 |
なお、酢の種類と詳細についてはLesson6-6でまた詳しく学習します。
食酢以外の食品も

一時期、日本ではナタ・デ・ココがはやったことがありましたね。
当時、ナタ・デ・ココって一体何だろう?
と不思議に思っていた人は多いのではないでしょうか。
酢酸菌の中には、
糖類から食物繊維の一種であるセルロースをつくり出すものがあります。
この働きをする酢酸菌は、
グルコノアセトバクター・キシリナス(ナタ菌)です。
ナタ・デ・ココはこのセルロースをつくる性質を利用して、
グルコノアセトバクター・キシリナスでココナッツジュースを
発酵させたものになります。
あのコリコリとした不思議な食感は、
ナタ菌によってつくり出された食物繊維だったのです。
ちなみに、ナタ・デ・ココは99%が水分で、
1%がセルロースです。
非常に低カロリーな食材として知られています。
以上、酢酸菌について解説しました。
次のページでは、「納豆菌(枯草菌)」について学習します。