Lesson5-3 乳製品①

このページでは、乳製品について学習しましょう。

ヨーグルト

牛乳を発酵させた食品として、
日本でも広く食されているのがヨーグルトです。

Lesson1-2「発酵食品の歴史」ですでに学んだ通り、
ヨーグルトは非常に古くから存在する発酵食品です。

しかし、世界中に広まったのは、ここ100年程のことです。

ノーベル賞を受賞したロシアの科学者イリヤ・メチニコフが、
ブルガリアに長寿の人が多いのは、
ヨーグルトを食べているからではないかという説を発表
し、
注目を集めたためです。

その後の研究により、
ブルガリア株は胃酸で死滅してしまうことがわかりましたが、
それでもその菌体や代謝物は腸内で有効に働きます。

それに加え、ヨーグルトは家庭でも簡単に作れることもあり、
普及していったと考えられます。

ところで、日本人は牛乳を飲むと
お腹がゴロゴロする人が多い(乳糖不耐)
と言われています。

ヨーグルトは乳糖が分解されているため
牛乳でお腹の調子が悪くなってしまう人でも安心です。

世界の発酵乳

日本では、乳を発酵させたものはどれも「ヨーグルト」として
一括りにしていますが、
実は世界にはさまざまな種類の発酵乳があります。

いくつか取り上げて見ていきましょう。

ケフィア(ロシア)

ケフィアは、ロシアのコーカサス地方でつくられている、
伝統的な発酵乳
です。

乳酸菌だけでなく、酵母も加えて発酵させる、
複合発酵型の発酵乳になります。

普通のヨーグルトよりも乳酸菌の種類が多いため、
好んで食べる人も多いようです。

日本ではお店で販売されていませんが、
ケフィア菌を購入すれば、自宅で簡単につくることができます。

ダヒ(インド)

ダヒは、インドの発酵乳です。

東欧系のヨーグルトとは用いられる菌種が異なるため、
できあがりはややゆるめの固さで、
酸味は控えめです。

ラッシーは日本でも好まれていますが、
本場のインドでは、このダヒを材料に使っています。

クーミス(中央アジア)

クーミスは、モンゴルやカザフスタンなどの
中央アジアで親しまれている発酵乳です。

クーミスは馬乳からつくられており、
微量のアルコールを含みます。

馬乳の代わりにラクダ、牛、羊の乳が使われることもあります。

ビリィー(フィンランド)

フィンランドは酪農大国で、
乳製品が多い国として知られています。

ビリィーはその中の一つで、発酵乳の表面に、
カビ(※)が生えた発酵乳です。

※家庭で伝統的につくられるものにはカビが生えるが、
スーパーなどに売られている市販のビリィーには生えていません。

トロトロとしており、糸をひくような粘性があります。

味はピリッとした風味と、わずかな酸味が特徴。

フィンランドでは、シナモンをかけるのが定番です。


上で解説した世界の発酵乳の他にも、
国や地域によってさまざまな発酵乳があります。

世界の発酵乳は、日本であまり知られていないものは、
日本のスーパーでは買えないことが多いですが、
中には、菌種が販売されていることがあります。

どの菌種がおなかに合うか、人によってそれぞれ異なりますので、
いろいろな発酵乳をつくって試してみるのもいいでしょう。

発酵バター

バターには発酵させているものと、
発酵させていないものがあります。

発酵バターは、牛乳から分離した固形部分を
乳酸発酵させたものになります。

ヨーロッパでは、古くからバターがつくられていましたが、
自然に天然の乳酸菌が入り込むため、
バターと言えばすべて発酵バターでした。

それが現在まで引き継がれているのでしょう。

無発酵バターがつくれるようになったのは、
衛生設備ができて、天然の乳酸菌が混入しなくなった近代のことです。

日本では、一部のメーカーが発酵バターを販売していますが、
国内で流通しているバターのほとんどは無発酵バターです。

近代的な技術ができあがってから日本に上陸したため、
日本では無発酵バターが一般的になったのでしょう。

サワークリーム

サワークリームは、生クリームを乳酸発酵させたものです。

乳酸により爽やかな酸味が出て
生クリームよりもさっぱりとした味わい。

生クリームは腐敗しやすいですが、
発酵させることで保存性が上がります。

クリーム状になっているので、
野菜をディップしたり、
パンにつけて食べられます。

また、料理に使うとコクが出ます。

ロシアではサワークリームが日常的に使われており、
例えばボルシチの上によく乗せてあるクリームが、
このサワークリームです。


世界の発酵乳、発酵バター、サワークリームについて
解説しました。

次のページでは、「チーズ」について学習しましょう。